• 講演一覧

    講演者・講演概要の一覧です.

  • 駒場グランプリへの投票のお願い

    「この講演おもしろい!」と思われた方は、駒場祭の優秀企画を決める「駒場グランプリ」への投票にご協力いただけると幸いです。我々も、やったかいがあったな、と思い、次回以降継続するモチベーションがあがります。
    下記アドレスまで、空メールをお送りください。正門前にて、福引きにチャレンジできます。
  • 人文系

    歴史に埋もれた漢字の世界
    ──対馬はなんで「ツシマ」って読むの?──

    王 一凡(人文社会系研究科・修士課程)
    私たちが音読みなどで知っている漢字の発音は、主に奈良・平安時代に取り入れた中国語の発音に基づいていますが、その知識だけではどうしても説明できない読み方をする言葉もあります。その一部はもっと古い時代の発音の影響を受けていると考えられているのですが、その古い時代の中国語の姿が比較的よく分かってきたのは、実はごく最近のことです。ここでは「対馬」など皆さんにも身近な例を取り上げながら、漢字研究の最先端の成果である古代中国語の驚くべき世界をご紹介します。

    ルソーの夢想、祝祭について

    加藤 一輝(人文社会系研究科 欧米系文化研究専攻・修士課程)
    フランス文学は翻訳を通じて様々な分野で本邦に多くの影響を及ぼしてきましたが、とりわけ近代国家としての日本に大きく作用した作家のひとりとして、ジャン=ジャック・ルソーを挙げることができるでしょう。ルソーは、よく参照される政治思想・自伝・教育論のみならず、オペラの作曲や植物学への興味など非常に幅広い著作を遺しており、没後2世紀半を経た今なお概括するのは難しいですが、今回は、せっかく駒場祭での企画ですから、ルソーが「祭り」というものを理想の共同体として描いていることに注目して、彼の望んだ人間集団のありかたや、その夢想の逡巡について、幾つか引用も交えながら、皆さんと一緒に考えてみようと思います。

    フランス文学と旅
    ──「部屋をめぐる旅」を読む──

    加藤 一輝(人文社会系研究科 欧米系文化研究専攻・修士課程)
    人間は古来より方々へ旅に出かけ、それを書き記してきました。文学において旅行記は間違いなく重要なジャンルのひとつでしょう。しかし、遠くへ行くことだけが旅ではない、というのが今回の駒場祭のテーマであるようです。そうした旅の先駆者に、本邦ではあまり知られていませんが、フランス革命の最中に自分の部屋を旅したグザヴィエ・ド・メーストルという作家がいます。彼の『部屋をめぐる旅』は、18世紀の観光旅行ブームの帰結でもあり、19世紀に大衆化した都市遊歩の予兆でもあります。この風変わりな旅の技法を、幾つか引用も交えながら、一緒に見てゆきましょう。

    この世は書物、人はみな読者
    ──「書物としての世界」の歴史と意義──

    加藤 広和(人文社会系研究科 欧米系文化研究専攻・修士課程)
    世界を書物に、知的営みをその読解にたとえる比喩は西洋の知的伝統において長い歴史を持ちます。しかし、その比喩の言わんとするところは時代によって変化してきました。今回はその変化を示す重要な作家としてモンテーニュをとりあげ、「書物としての世界」の比喩の推移を示すとともに、この比喩がモンテーニュにとってどのような意味を持つのか考えてみます。

    ロシア・アヴァンギャルドの授業を体験してみよう
    ──1920年代にアヴァンギャルドの牙城と呼ばれた美術学校ヴフテマスで行われていた講義を再現します──

    細川瑠璃(総合文化研究科 地域文化研究専攻・修士課程)

    集団心理を科学する
    ──人は集団に所属するとどうなるか?──

    正木郁太郎(人文社会系研究科 社会文化研究専攻・博士課程)

    我々はホラー映画を本当に怖がっているのか?
    ──フィクションの哲学──

    松本大輝(人文社会系研究科 基礎文化研究専攻・博士課程)
    ホラー映画でモンスターが人々を襲う場面があったとき、私たちはしばしば、そのモンスターを怖いと思うことがあります。しかし、そこでの「恐怖」は本当に恐怖なのでしょうか。そもそも現実にはいないと分かりきっているモンスターを怖がることなんて可能なのでしょうか。一見すると単純な問題に見えますが、これは実は現代の英語圏の哲学で盛んに議論されたトピックです。この問題は単に「恐怖とは何か」という問題のみならず、「フィクションに感情を寄せるとはどういうことか」さらには「フィクションとは何か」という問題に私たちを誘います。ときに現実以上に私たちの心を揺さぶる虚構。それと格闘する哲学をご紹介します。
  • 理工系

    台風を"消す"方法!?

    岡島悟(理学系研究科 地球惑星科学専攻・博士課程)
    みなさんは台風を消す方法がある事をご存知でしょうか。実はその方法を考えた人がいて、既に特許化されているのです。どのような方法か気になりませんか?この方法について考えるには、台風がどのように発達するのかを知る必要があります。台風が自身の強さを保ち、さらに発達するためにはエネルギーが必要です。そのための「燃料」が何なのか、さらに台風と言う「エンジン」どはのような仕組みになっているのかを紹介します。

    人間を超える!?脳を真似したコンピュータ

    唐木田亮(新領域創成科学研究科 複雑理工学専攻・博士課程)

    タンパク質のカタチからひもとく生命の不思議

    草木迫司(理学系研究科 生物科学専攻・博士課程)
    「タンパク質」と聞いて三大栄養素の一つだと連想する方は多いと思いますが、科学の視点から捉えると「タンパク質」は他にも生命にとって多くの重要な役割を担っています。タンパク質を理解するためのアプローチの一つに、タンパク質のカタチ(立体構造)を明らかにする方法があります。タンパク質のカタチとはどういうものか?カタチが分かると更にどんなうれしいことが分かるのか?皆さんにきっと覚えて帰ってもらえるようなタンパク質を例にお話したいと思います。

    イワシ論

    坂本達也(大気海洋研究所 環境動態分野・修士課程)
    どーも、柏イワシ課です。逆から読んでみてください。どうです、驚きましたか?つまり私は普段柏キャンパスで、イワシの研究をしているわけです。なぜあえてイワシなんてものを研究するのか?と思う人も多いのではないでしょうか。しかし私に言わせれば、イワシを研究しないでいられることの方がよくわかりません。

    宿主を“操る”病原体

    庄司 佳祐(農学生命科学研究科生産・環境生物学専攻・博士課程)
    人間、誰しもが一度は病気にかかったことがあると思います。病気の原因は様々ですが、何かしらの感染性のモノ(病原体)が原因であることがあります。今回はそんな病原体のお話です。実は、病原体の中にはかかった相手(宿主と呼びます)を操ってしまう病原体がいます。例えばバキュロウイルスというウイルスは蝶や蛾の仲間に感染してその行動を操ります。他にも、カマキリやコオロギに感染するハリガネムシや、ネズミに感染したトキソプラズマも、宿主の行動を操ることが知られています。操るのは行動だけではなく、昆虫に感染するある種の細菌は、雄を殺したり、雄を雌にしたりします。一見すると統一感の無い不思議な現象ですが、これらの病原体は一貫して自身の増殖に有利な環境を作っているのです。私たち人間も知らないうちに、何かに操られているかもしれません。

    ヒトを巧みに騙すミライの情報機器

    末石智大(情報理工学系研究科 システム情報学専攻・博士課程)
    私達は普段電話やパソコンなど情報機器の恩恵にあずかっていますが,その性能を設計する上では,視覚など私達の知覚特性が重要な要素となります.一方で私達の知覚は,騙し絵や錯視に代表されるように比較的騙しやすいものであるため,情報機器を通じて私達が更に豊かな生活を送れるよう,デバイスの性能・知覚特性の両面で日々研究されています.今回はバーチャルリアリティやロボット技術に関して,将来的に私達の日常生活に普及するかもしれない研究例を幾つかご紹介しながらお話させて頂きます.

    アナログとはなんだろう。
    ──古くて新しい、もう一つの計算──

    鈴木良平(情報理工学系研究科 コンピュータ科学専攻・修士課程)
    アナログ(analogous:類似した・相似の)という,身近なのにどこか少し不思議な言葉を見つめてみると,記号処理によって問題を解決するデジタルな計算に対して,実物によく似せたモデルを通じて複雑な現象を理解しようとする人類の知恵が浮かび上がってきます.ここでは,古代の日時計や天球儀の発明に遡る人類とアナログ計算との関係の歴史を紐解きながら,かつて電子コンピュータと性能を競うこともあった水力積分器や,人工知能やロボティクスの分野で注目をされている形態による計算の理論など,デジタル全盛期の現代でも重要な役割を果たし続けている「アナログ」な計算の魅力についてお話したいと思います.

    昆虫の「ヨダレ」と植物の「香り」

    高井嘉樹(農学生命科学研究科生産・環境生物学専攻・博士課程)
    みなさんは、「花の香り」ではなく「葉の香り」に注目されたことがありますか?...手で葉を潰すと青臭い香りがします。昆虫が植物の葉を食べている時も、葉から香りが出ています。今回は、「植物の葉」「葉を食べる蝶の幼虫」「蝶の幼虫に寄生する蜂」という3者と、彼らの生活によって生み出される「香り」のことをお話しします。彼らの生活の中で、香りは必要なものなのでしょうか?また、目を持たない植物は、昆虫の存在を認識しているのでしょうか?みなさん、一緒に考えてみましょう!※昆虫の写真が沢山出てきますが、苦手な人にも是非参加して頂きたいです!

    健康の鍵はここに!? 体に潜む住民達ヒト常在菌のムラ社会

    高安伶奈(新領域創成科学研究科 メディカル情報生命科学専攻・博士課程)

    あんなバス、こんなバス

    寺田悠希(工学系研究科都市工学専攻・修士課程)
    みなさんはふだんバスに乗りますか? 実は、日本では1970年頃からバスの輸送人キロが減少し、廃止になる路線も相次いでいます。しかし、高齢化や人口減少の進行で、都市(まち)の構造が大きく変化しつつあり、バスなどの公共交通手段が見直されてきています。そのため、バスもより魅力的な交通手段として変化してきています。今回は、BRT(バス高速輸送システム)やコミュニティバスを取り上げて、これからの都市と移動手段に関する現状の一端を紹介します。

    君はハチミツの中で泳げるか?
    ──ホタテ貝定理と微生物の泳ぎ──

    西口大貴(理学系研究科物理学専攻・博士課程)
    ドロドロの液体の世界や、ミクロな世界での液体では、我々の直感が裏切られてしまいます。ホタテは、どろどろの液体の中を泳げるのでしょうか?とっても小さなホタテ、例えばマイクロメートル(0.001 mm)程度の大きさのホタテは、水の中を泳ぐことができるのでしょうか?そんなことを、ホタテの気持ちになって、みなさんと一緒に考えてみたいと思います。こういったことを考えることで、微生物がどうやって効率的に水中を泳いでいるのかということを理解することができます。
    この話の最終目標は、皆さんが帰り道に「ハチミツのプール」に投げ込まれたら、どう泳ぐのが効率的か?というサバイバル術を理解して帰っていただくことです。「泳ぎ」を、流体力学の視点から眺めてみましょう!

    生き物の群れに物理で挑む
    ──自発的対称性の破れと群れ運動の数理──

    西口大貴(理学系研究科物理学専攻・博士課程)
    大空と飛び交う鳥の群れ、水族館で渦を作っているイワシの群れ…僕はそれを見るのが大好きです。そういった生き物の群れに共通する“普遍的な法則”を、一緒に探ってみませんか?明日から、あなたの群れの見え方が変わるはずです。
    「自発的対称性の破れ」という言葉は、2008年に南部陽一郎先生がノーベル物理学賞を受賞された時にニュースで聞いた覚えのある方がいるかもしれません。「自発的対称性の破れ」は、実は非常にシンプルな概念ですが、磁石・超伝導・液晶・ヒッグス粒子の理論など、現代物理学のあらゆる所で重要な役割を果たしています。
    この「自発的対称性の破れ」を通して、群れを見ると、分かることがあります。ここでは、生き物の群れを、物理屋さんがどのように単純化して「群れ運動の数理」を抜き出すのかというアプローチを体験してもらいたいと思います。群れ運動を実験的に追究するための「生き物のように自ら動き回る人工的な粒子」による実験も紹介します。

    電気分解の"数万℃"の世界
    ──実験付き──

    林 徹(工学系研究科 応用化学専攻・博士課程)
    電気を使うと、他の方法ではとても大変な化学反応を簡単に起こせることがあります。「化学」より、おそらくなじみのない「電気化学」。電気化学のおかげでできている身の回りの物を、のぞいてみましょう。最後に、実験もしてみようと思います。

    ゲノムから見る微生物

    平岡聡史(新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻・博士課程)
    微生物は、あらゆる環境に生息しています。庭の土、海の水、人の皮膚や腸内はもとより、温泉、鉱山排水、氷河、黄砂、さらには火山、深度10kmの地下、上空100kmの成層圏に至るまで、様々な環境に微生物が存在する事が分かっています。そのような微生物の中には、病原菌のように人に悪さをする菌がいる一方で、下水処理場で水質浄化に役立てられている細菌もおり、例えば今年のノーベル生理医学賞を受賞された大村智教授の業績であるイベルメクチンの開発は、ゴルフ場の土壌に生息する放線菌がベースになっています。近年のゲノム観測技術の向上により、環境微生物の研究は飛躍的に進歩しています。様々な環境に生息する小さな微生物たちを、ゲノム情報というビッグデータを用いて明らかにする、「ゲノム微生物学」という学問分野を紹介します。

    強さの秘密を教えてあゲル

    廣井卓思(理学系研究科 化学専攻広域理学教育領域・助教)
    私、風邪で体力がなくなったときとか喉が痛いときとかには、ウイダーinゼリーを飲みます。ちょうどいい柔らかさなんですよね、アレ。あ、でも、元気になったら雪見だいふくも食べます。あのもっちりとした食感も捨てがたい。こういう柔らかいもののことを、私たちの業界ではゲルと呼びます。最近、日本では柔らかくないゲルの開発がどんどん進んでいます。噛み切れないどころじゃない、超強いゲルです。車で踏んづけても壊れないくらいです。何の役に立つかは、聞いてのお楽しみということで!

    ガンガン壊せ!中性子

    廣井卓思(理学系研究科 化学専攻広域理学教育領域・助教)
    「ウォーリーを探せ」はご存知でしょうか?大きな絵の中にたくさん人がいて、その中に紛れ込んだ、変な格好のウォーリーという中年男性を見つけるという遊びです。これ、なかなか見つからなくてイライラするんですよね。ウォーリーだけ見えるようになるメガネがあればいいんですけどね。そんなメガネはないですが、ガン細胞だけ見えるようになる方法はあります。ガン細胞だけ見える魔法のメガネ、その名は中性子。

    スペクトルは分子からの手紙

    廣井卓思(理学系研究科 化学専攻広域理学教育領域・助教)
    人にはそれぞれ指紋があります。指紋の形は人によって異なり、同じ指紋を持つ人はいないと言われています。さて、この世の物質はそのほとんどが分子と呼ばれるもので構成されています。水も酸素も二酸化炭素も分子ですし、人間は様々な分子が集まってできています。これらの分子も、指紋のようなものがあり、スペクトルと呼ばれています。スペクトルは分子によって異なり、同じスペクトルを持つ分子はありません。今回は、このスペクトルについてお話させていただきます。

    デジタルファブリケーションで建てる
    ──つくりかたから見える未来──

    蒔苗 寒太郎(工学系研究科建築学専攻・修士課程)
    最近話題のレーザーカッターや3Dプリンタ。これらはコンピュータで3Dのデータを作ったり機械に処理をさせることが手軽にできるようになったために広まりました。そして今やコンピュータや機械によって、今まで使えなかった材料をつかって、今まで作れなかった形が作れるようになってきています。今回はそんないくつかの事例を通して、最先端の「デジタルファブリケーション」を皆さんにお見せしたいと思います。

    「うさぎとかめ」の地震の話

    矢部優(理学系研究科地球惑星科学専攻・博士課程)
    「地震」と聞くと,ある日突然地面がガタガタと揺れ,でもすぐに止まる,そんなイメージを持たれるのではないでしょうか?長い間,我々はこの”普通の”地震しか知りませんでした.しかし,近年の観測・研究により,私たちの足下では感じることのできない異なるタイプの地震が発生していることが明らかになってきました.しかもこの新しい地震は,長いものでは数年も地震が起き続けるのです.この新しい地震について知りたいと思いませんか?

    建築/都市空間の立体としての「見え」

    山岡 馨(工学系研究科 都市工学専攻・博士課程)
    われわれは,両目でものの立体感を把握している,といわれています.それは必ずしも間違いではないのですが,しかし,片目を閉じたからといって,目の前の風景がいきなり平面に見えることはないでしょうし,何ならそのまま空間のなかを歩くことだって(ある程度は)できてしまいます.なぜ,このようなことが起こるのでしょうか.
    ここでは,近年コンピュータを用いた建築空間・都市空間の解析で再評価の進むJ.J.ギブソンの考え方に的を絞って紹介します.

    これが解けたら1億円!?
    ──P≠NP予想と暗号理論──

    山川高志(新領域創成科学研究科複雑理工学専攻・博士課程)

    物理で眺める右手と左手
    ──カイラルな現象を理解する──

    山本尚貴(理学系研究科物理学専攻・博士課程)
    カイラルもしくはキラルという言葉をきいたことがありますか?化学を勉強したことのある人は聞いたことがあるかもしれません。左手を鏡に映すと、鏡の中には左手(のようなもの)が映ります。このように物体を鏡に映した時に、その像が物体とは異なって映るときにその物体はカイラルであるといいます。非常に抽象的な概念に見えますが、カイラルを物理の目線で見つめると、「なぜ、生物が動くことができるか」まで見えてきます。10分後にはきっとカイラルが気になってしょうがなくなるでしょう。